Aの独り立ちの日。



それはもう、誰の期待も裏切らない

素晴らしい門出を告げた。





当時、在庫を管理していて会社に残る機会が多かったのは白髪さんだったけど

白髪さん自身「人に注意をしたりする事は苦手」だと、それは社長にも直接告げていて



人には適材適所がある



その事をよく知っている社長は特に白髪さんに対して無理強いもしなかったし



私自身も

「白髪さんの性格じゃ言うのは無理なんだろうな……」

と思っていたので、白髪さんが何も言わない事に対してどうこう言う事もなく。



「パートの人達と一緒に無理です!出来ません!!って言うんじゃなくて

“自分も手伝うので頑張りましょう”位は言って引き上げて下さい!」

程度に抑えていた。



それに対してAはいつも

「それじゃあかんねん。社員やねんから考え方をしっかり持たないと!」

と言っていた。



当時は会社に残るのが白髪さんだと固定されていたから

「白髪さん差し置いては言われへんわ」

そう言うAだけど、これからはその白髪さんの役割をAが担う事になる。




私「白髪さん、社長から連絡ありました?」



「あぁ、うん。あったよ。

A君と暫く代わるって事でいいんやんね?」



私「実際今、パートの人達ってどうなんですか?

私が会社出た後って私見えへんから」



「うん、まぁ正直のんびりしてるって言うのはあるよね。

自分が言うていかなあかんのは分かってたんやけど、どうしても強くは言われへんくて(´・ω・)」



私「そうなんでしょうねぇ。

まぁAが言うって言うてますし、暫く白髪さんは道とお客さん覚えるのに専念してもらったらいいかと。

慣れれば私も売り上げの上げ方のコツ、教えますしね。



……で、11時過ぎてるけど予定まだかな?(´・ω・)」



基本的に私は件数を抱えるから少なくとも10時30分までには予定を立てて、出発する準備をして

11時までには出発しないと、とてもじゃないけど回り切れない。



1日平均は13件で、その日もそんなに行く件数が少なくて済むような状況でもない。



しかも今日から森野さんを連れて回らなければならない。



私「早く出して欲しいなぁ(´・ω・)」



「確かに時間取ってるなぁ。

一応引き継ぎしとかなあかん事もあるんやけど時間取れるかなぁ?」



そう言っていた時、予定表を持ったAが事務所から出てきて

A「よろしく」

そう言って予定表を差し出した。



そこに書かれていた予定は




メガネ君  休み

白髪さん  3件

A  8件

優花・森野


15件





……………………。




ハァ━━━━(゚д゚)━━━━!!?