Aは言った。



します

やります

出来ます




と。





社長は頑張ると言う人間の「過去」は逐一振り返らない人で



社長が見るのは

今までがどうだったか?

ではなく



今後自分がどうするつもりか?

を見る人。



だからこそ

「自分がやります!!

やらせて下さい!!」



そう言うAを突っぱねる事もなければただ純粋に



「そうか!!

じゃあお前がやれ。

確かに森野とは期間も違うし経験もお前の方が豊富や。

やれるだけの事はやってみろ」

と、背中を押した。



肝心の森野さんはと言えば



「Aさんがやる気になってくれて良かったですねぇ♪」



と何とも変わらない表情で。



森野さんの考えてる事はイマイチよく分からなかったけど、Aは私に対して言うだけではなく

はっきりと社長の前でも意思表明をした。



「自分がやります」

と。



この時の私を含めたA以外の3人には“責任者”としての意味が

・従業員の意識の底上げ

・その上での質の高い仕事をする事

・それをする為には何をして

・一体どうするべきなのか




それは個人のやり方や考え方の違いはあるにせよ、見えているものや見ているものは同じだった。



ただ一人、違ったのはA。



「やるって決めたんやったらとことんやれよ。

いつまでも優花に売り上げ頼らんと、自分であげて来い」



私「社長知ってたんスか??」



「当たり前やろ。

お前らの顧客の根元は元々は俺と仕事してる人間や。

俺が何も知らん訳ないやろw」



そう言って不敵な笑みを浮かべる社長は、やっぱり私にとっては社長で

私「何年も見て見ぬフリとか性格悪っ‥‥」



そう言ってビールを飲む私に



「まあそう言うなや。

Aも本気でやる気になったみたいやし、お前が望んだ結果になったんちゃうけ?

そうやろ?」



と。



「そうですよ、優花さん。

社長結構見てますよ。

あ、でも僕の事はきちんと1週間見て下さいね?

優花さん抜きますから♪」



と。



確かに私の望んだ通りかも知れない。

私はAが“頑張る”と

その言葉を信じてきた。



だけど‥‥‥



私「本間に出来んの?

今までず――――――っと同じ場所におったあんたが?」



「出来るし!!」



今更出来るのかどうかはやってみないと分からない。

だけど今まで私の仕事に対する考え方や、予定を組む時の備え方。



何もかもの全てを「そもそも論」から話していたのは

何度となく会話を重ねていたのは社長でもなければ森野さんでもない。



今、目の前にいるA。



私「‥出来るよな?

今までずっと何回も言うて来たもんな?」



そう問いかけた私にAは言う。






「優花ちゃんの考え方とやり方を一番知っていて、理解しているのは自分だから」

と。